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9月19日(土)「手塚治虫みらい会議 第1回市民フォーラム『手塚治虫が私たちに教えてくれたこと』」を開催しました

活動レポート
2026.10.26

2026年9月19日(土)、Nakanoshima Qross 2階 Qrossover Lounge 夢にて、一般財団法人未来医療推進機構 手塚治虫みらい会議 「第1回市民フォーラム『手塚治虫が私たちに教えてくれたこと』」を開催し、149名の皆様にご参加いただきました。

一般財団法人未来医療推進機構では、漫画家・手塚治虫氏の作品を通じて、その思想や哲学を幅広く伝え、次世代へ引き継ぐことを目的として、「一般財団法人未来医療推進機構 手塚治虫みらい会議」を設立しました。

『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』『火の鳥』『ジャングル大帝』をはじめとする700本余りの手塚作品には、「生命」「人間」「科学」「正義」「社会」「未来」をめぐる鋭い問題提起と、人間や社会に対する温かなまなざしが込められています。貧困、人種差別、死生観、戦争、医療倫理など、作品の中で繰り返し描かれてきたテーマは、没後37年を経た現在も色褪せることなく、AI・ロボット、生命科学、医療技術が急速に進歩する現代において、むしろ新たな意味を持って私たちに問いを投げかけています。

今回、その最初の取組として、手塚治虫が作品を通じて投げかけてきた問いを、現代を生きる私たち自身の課題として捉え直すことを目的に、第1回市民フォーラムを開催しました。医療、AI・ロボティクス、文化・表現、育児・次世代育成、企業活動など異なる立場の登壇者が、手塚作品を共通の手がかりとして対話し、作品に込められた思想を単に顕彰するのではなく、現在の社会課題に照らして読み解き、次の世代へ何を、どのように伝えていくのかを考える場としました。

また、開催地である大阪・中之島は、緒方洪庵の適塾から大阪の近代医学、大阪大学医学部へと連なる歴史を有し、手塚治虫自身が医学を学んだゆかりの地でもあります。未来医療の社会実装拠点であるNakanoshima Qrossにおいて、これまで受け継がれてきた医学・生命へのまなざしと、これからの科学技術や社会のあり方を結び付け、市民、研究者、企業等がともに考える機会をつくることを、「手塚治虫みらい会議」の今後の活動に向けた第一歩と位置付けました。

中之島から、手塚治虫が問い続けた「命」を考える

開会挨拶では、澤 芳樹 一般財団法人未来医療推進機構 理事長が、緒方洪庵の適塾から大阪大学医学部へと連なる中之島の医学史と、この地で医学を学んだ手塚治虫とのつながりを紹介しました。ご自身が『ブラック・ジャック』から医師を志す影響を受け、手塚治虫から「本当の医者とは何か」と問いかけられた経験にも触れ、医療で命を救う一方、戦争によって命が失われる現実への矛盾を指摘。手塚作品は、親しみやすい表現を通じて命、死生観、差別、戦争という厳しい問いを投げかけており、その「気づき」を次世代へつなぐ意義を語りました。

手塚治虫が描いた「未来」は、すでに現在の問いになっている

スペシャルトークでは、大阪大学大学院基礎工学研究科 教授/AVITA株式会社 代表取締役社長 CEOの石黒 浩氏が、『鉄腕アトム』『火の鳥』に描かれた未来と、現在のAI・ロボット技術を重ね合わせ、感情を持つロボットへの差別や迫害、人間と機械の境界、巨大なAIがもたらすリスクなど、かつてフィクションとして描かれた問いが、いま現実の課題になりつつあると指摘しました。AIやロボットと人間を「どちらが優れているか」で比較するのではなく、それぞれの役割を考え、どう共存するかを選び続けることが重要であり、技術が進歩するほど、人間には「どの未来を受け入れ、何を選ぶのか」を考える責任が生まれると語りました。

オープンダイアローグ:何を引き継ぎ、どう未来へつなぐのか

オープンダイアローグでは、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ 特任教授/一般社団法人いのち会議 代表理事 堂目 卓生氏の進行のもと、ヴィジュアリスト/映画監督/一般財団法人手塚治虫文化財団 代表理事/株式会社手塚プロダクション取締役/有限会社ネオンテトラ代表取締役の手塚 眞氏、澤 芳樹 当理事長、石黒 浩氏、アップリカ育児研究所株式会社 代表取締役社長 葛西 康仁氏が、「手塚作品が私たちに与える示唆は何か」「そこから何を引き継ぎ、どのように進めるべきか」という二つの問いを軸に対話しました。

オープンダイアローグの様子

1. 「生命の尊厳」は、すべての命の平等へ
手塚 眞氏は『ブラック・ジャック』「オペの順番」を例に、社会的地位や人間・動物という区別を超え、危機にある命を重症度で救う姿勢を紹介しました。手塚作品の根底には「命は代えがたく、すべての命は平等」という考えがあり、さらにロボットのような人工物にも命や尊厳を見いだす問いへと広がっています。

2. 「命を守る」だけでなく、「どう生きるか」を問う
医療が命を救う一方で、戦争では健康な人の命が失われるという矛盾、治療後にその人がどう幸福に生きるかという医療の課題、そして子どもが夢や生きがいを持ちにくい社会が議論されました。命を大切にするとは、ただ危険から守ることではなく、自分の生きがいを見つけ、その命をどう生かすかまで含むという視点が示されました。

3. 技術に判断を委ねず、人間が考え続ける
AIが高度化し、人間とロボットの境界が曖昧になる時代だからこそ、「命とは何か」「人間とは何か」という本質的な問いを手放してはならないとの意見が共有されました。手塚作品を未来予測として読むだけではなく、時代の常識に流されず、自分たちで問い直し続ける姿勢そのものを受け継ぐことが重要だと整理されました。

4. 次の世代へ、問いをひらいていく
対話の終盤では、子どもたちに命や未来について考える機会をつくることの重要性が繰り返し語られました。手塚 眞氏からは、手塚作品に通底する自然や物とのつながりを、古くからのアニミズムの感覚として捉える視点も示され、堂目氏は「宇宙からの眼差し」という手塚治虫の言葉を手がかりに、目の前の利害や常識を超え、想像力をもって未来を考える必要性をまとめました。

クロージング:作品のメッセージを社会へ届ける

最後に、株式会社パソナグループ 取締役副社長執行役員の山本 絹子氏が、大阪・関西万博や淡路島での取組を通じ、アトムや『火の鳥』などの作品・キャラクターに込められたメッセージを社会へ届けてきた経験を紹介。企業にも、手塚作品を現代の社会課題と結び付け、新たな形で次の世代へ届ける役割があるとの考えが示されました。

今後に向けて

ご登壇のみなさま


「手塚治虫みらい会議」は、作品を過去の文化資産として振り返るだけではなく、医療、AI・ロボット、教育、家族、社会といった時代ごとの課題に重ね、市民とともに問い直し続ける場を目指します。今後は、子どもや市民が手塚作品をきっかけに生命や未来について考える対話の機会をつくるとともに、医療・科学技術・文化・教育・企業など、異なる分野の人が集い、時代ごとの問いを深める場へと展開してまいります。

一般財団法人未来医療推進機構 手塚治虫みらい会議 のWEBサイトはこちら
https://www.nakanoshima-qross.jp/business/tezuka-mirai-kaigi/

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